ババ食い大蛇 2
その夜、娘が来て、
「あなたはお部屋に休んで下さい。わたしはつぎの部屋に休みます。まだ同じ部屋に休むことはできません」
ということでした。
その晩の夜中ごろ、
シュッ、シュッ、シュッ
シュッ、シュッ、シュッ
フウッ、フウッ、フウッ
という音が聞こえてきました。
「何の音じゃろうか」
と思っていると、またその音が聞こえてきます。
いつまでも音がつづくので、若者はいっこうに眠れません。
音は隣りの部屋からのようです。
若者は、すかし窓からそっとのぞいてみました。
「あっ。」
若者は思わず、声を立てました。
そこには、真赤な口が耳までさけた大蛇が、眼の玉をギョロギョロ光らせて坐っているのです。
「ンニャ、ンニャ、こアたいへんじゃ。あん娘は大蛇じゃった。ぐずぐずして必ればかまれてしもうど。
逃げるにしても戸はしめられてあかん。しかたはなか。よし窓からとびおりよう」
と若者が二階の手すりに手をかけたとき、
「これ、お待ちなさい」
と声がかかりました。
「えっ。」
若者がふり返ったとき、戸がさっとあいて、娘がはいってきました。
「何をなされますか。わたしはこのとおり人間です。
あなたはわたしのいうことを聞いてそのとおりなさって下さい。そしたらあなたを養子にしましょう。」
見ると、娘はやっぱり娘の姿です。昼間と同じ美しいりっぱな娘です。若者は、
「よし、もうどうにでもなれ」
と思っていると、
「あなたはこれから私と手なんで、墓場に行きましょう。逃げると承知しませんど。」
「はい。」
そこで、若者は娘と墓場に行きました。
墓場には、きょう葬式があったような新しい墓がありました。その前に行って娘がいいました。
「さあ、この墓を掘って下さい。」
若者は、掘らなければ娘が大蛇になっておそいかかってくるような気がして、しかたなしに掘りました。
すると、死体をいれた棺桶が出てきました。